平成29年4月3日(月)~4月9日(日)木村俊之院長がアイ・キャンチャンネル(12-1ch)の健康情報番組「smile健康学」に出演しました。

その番組内容を紹介します。

今回のテーマは「C型肝炎の新しい治療薬」です。
お話を伺うのは木村 俊之先生です。
よろしくお願いします。

院長

よろしくお願いします。

木村先生、まずC型肝炎とはどんな病気かを教えてください。

院長

C型肝炎は人間の肝臓に炎症を起こすウイルス、
C型肝炎ウイルスに感染することによっておこる肝臓の病気です。
このウイルスが肝臓に感染すると、肝臓が炎症を起こし、
細胞が徐々に壊れていって肝臓の働きが悪くなってしまいます。
この病気をそのまま放置すると長い年月をかけて徐々に病気が進行し、
「肝硬変」や、「肝臓がん」といった恐ろしい病気になることがあります。

C型肝炎はどんな症状が出るのでしょうか?

院長

C型肝炎の初期にはほとんど症状はありません。ですので、感染しても気付かないまま長い年月が経過して、
病気が進行してゆくケースが多くみられるのです。
C型肝炎が進行し、肝臓が硬く変形する「肝硬変」になってしまうと
肝臓の働きがほとんど失われてしまいます。
すると、肝臓で解毒できなくなった毒素が体の中を巡ってしまう「肝性脳症」など、
生命にかかわる合併症を起こしやすくなります。
また、さらに進行して「肝臓がん」になることもあります。

では、C型肝炎になる原因をおしえてください。

院長

この病気はC型肝炎ウイルスが人から人へ感染することで起こります。
C型肝炎ウイルスは平成元年に初めて発見されたウイルスで、それまでこのウイルスによる肝炎は原因不明の肝炎といわれていました。
C型肝炎は感染している人の血液が他の人に入ることによって感染しますので、このウイルスが発見されるまでに行われた輸血や注射針の使いまわしなどで多くの人が感染しました。
現在ではこのような原因で新たに感染することはほとんどありませんが、そのかわり最近新しく増えてきているのは、ピアスや入れ墨、不衛生な針治療などです。

現在C型肝炎の患者さんというのはどのくらいいるのでしょうか?

院長

現在日本にはC型肝炎の患者さま、あるいはご本人でも気づいていないC型肝炎ウイルスの感染者が、
100人に1人の割合でいると推測されています。
先ほどお話ししたようにC型肝炎はほとんど症状がない病気ですので、
感染しても気付かないまま長い年月が経過して
病気が進行してゆくケースが多くみられることがこの病気の怖いところなのです。

それではC型肝炎の検査を受けた方が良いのでしょうか?

院長

C型肝炎は感染している人の血液を介して感染しますので、
入れ墨やボディピアスなども感染の危険を増やします。
ですが、実は思い当たる感染の機会がなかったにもかかわらず、
C型肝炎ウイルスに感染している方もたくさんいらっしゃいます。
かなりの割合の方が感染していることに気づいていないと考えられているのです。
C型肝炎ウイルスの検査は簡単な血液検査で終わります。
C型肝炎を撲滅するために、
多くの方に検査を受けていただき、感染を早く発見することが必要です。

わかりました。では、治療方法について教えてください。

院長

C型肝炎の治療の大きな目標は肝硬変と肝臓がんの阻止です。
そのためにまずは肝庇護療法といって、
肝臓の炎症をなだめて、肝炎から肝硬変にならないようにする治療が挙げられます。
そしてそれ以上に大切なのは、C型肝炎ウイルスを体内から消すことです。
ウイルスを消すことでC型肝炎が大きく改善することが知られています。
ウイルスを消すためには、大きく分けて二つの治療法があります。
インターフェロン注射を使用する方法と使用しない方法です。

院長

まずインターフェロン注射を使用する方法ですが、
これはインターフェロンというたんぱく質を使って自分自身の免疫パワーを高め、ウイルスを抑える治療法です。この治療では5割から8割程度の患者さまのウイルスを消すことができます。
しかし注射薬なので頻繁に病院に通う必要があり、発熱・脱毛などの副作用があるのが難点です。
また治療期間も1年以上かかります。
そして、次にご紹介するのが最近登場したインターフェロン注射を使用しない全く新しい治療法です。

新しい治療薬とはどのようなものなのか、くわしく教えてください。

院長

直接作用型抗ウイルス薬といいます。
これは内服のお薬を3か月から6か月間飲むだけ、という、
従来のインターフェロン注射薬を使用しない全く新しい治療法です。
2年前に初めて登場したこのお薬は、ウイルスに直接効いてウイルスを抑え込んでしまう画期的なお薬です。
現在数種類のお薬が発売されていますが、これらのウイルスを消す成績はどれもほぼ9割以上であり、
お薬によっては、内服した患者さま全員からウイルスがいなくなり、100%肝炎が治ってしまったという素晴らしい成績のものもあります。
従来のインターフェロン注射薬とは違い、飲み薬なのでたびたび通院する必要がありません。
しかも内服期間も最短で3か月間と限られているので、患者さまの負担は少なく済みます。

素晴らしいお薬のようですが、副作用や注意する点はありますか?

院長

このお薬のさらに素晴らしいところは、ほとんど問題になる副作用がない点です。
もちろん、元々のご病気をお持ちの方や、お薬の飲み合わせによっては問題になることもありますので、
きちんと専門の先生に受診し、処方してもらうことが大事です。
ただ、このお薬で一番話題になっているのは、お値段が高いことです。
1錠あたり数万円しますので治療期間の3か月間服用しますと、大体400万円以上かかってしまう計算になります。

それは・・・かなりの高額ですね。

院長

はい、そこでこの治療をお受けになる方に対して、医療費の公的な助成制度があります。
この治療にかかるお薬代、診察代、入院費用などの自己負担の上限を、原則1か月に1万円までとし、残りの費用を国と都道府県などの自治体が負担する制度です。
この制度を利用するには山口県へ申請をし、認定を受ける必要があります。
詳しくは最寄りの健康福祉センターか、お近くの肝臓専門の医療機関におたずねください。

助成制度があるんですね。わかりました。
C型肝炎の新しい治療薬、ぜひたくさんの方に知っていただきたいですね。
では先生、最後にまとめをお願いします。

院長

C型肝炎ウイルスが感染してC型肝炎になると肝硬変や肝臓がんへ進行することがあります。
この病気の最も恐ろしいところは、全く症状がないまま病状が進行してゆくことです。
しかし、これまでお話ししました通り、C型肝炎の治療は近年大幅に進歩し、わずか3か月の飲み薬の治療でほぼ全員の方が治る時代になってきました。
WHO:世界保健機構も2030年までに地球上からウイルス肝炎を撲滅すると宣言しています。
みなさま、どうか病気を恐れず、お近くの肝臓専門のお医者さんに検査や治療について相談してください。
あなたの勇気が、日本、そしてこの世界からC型肝炎を消し去る第一歩となるのです。

今回は「C型肝炎の新しい治療薬」について木村先生にお話しを伺いました。
先生、ありがとうございました。

院長

ありがとうございました。