【子宮頸がんについて】
子宮頸がんは、発がん性がある「ヒトパピローマウイルス(HPV)」感染が原因となって発症する病気です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は特別なことがなくても女性であれば誰でも感染する可能性があるウイルスです。
(男性にも感染し、陰茎がんなどの原因になります。)
多くの場合ウイルスが感染しても自然に排除されますが、ごく一部、感染から十数年をかけて子宮頸がんを発症することがあります。
【子宮頸がん予防ワクチンについて】
子宮頸がんの予防ワクチンは、2 種類あります。
子宮頸がんから多くみつかるヒトパピローマウイルス16型、18型の2つのタイプの感染を防ぐことができるサーバリックス(2価ワクチン)と、
ヒトパピローマウイルス16型、18型のウイルスに加え、尖圭コンジローマの原因となる6型、11型の合計4つのタイプのウイルス感染を防ぐことができるガーダシル(4価ワクチン)です。
ガーダシルはワクチン接種時の痛みがサーバリックスに比べて軽い傾向があり、当院ではガーダシルを採用しています。
(*ただし、どちらのワクチンもすべての発がん性ヒトパピローマウイルス感染を完全に防ぐものではありません。)
【ワクチン接種の対象となる方】
小学校6年生~高校1年生相当年齢の女性です。
※現在高校1年生の年齢の年度末までが対象期間となります。対象期間を過ぎると任意接種(有料)となります。
※9歳以上の男性も接種の対象になります。(自費)
【接種スケジュール】
定期予防接種に使用されるワクチンは、上記の通り2種類あります。
サーバリックス、ガーダシルとも子宮頸がんを予防する効果は同じで、どちらも計3回接種する必要があります。
どちらか一方のワクチンを使用し、3回とも同じワクチンで接種します。(当院ではガーダシルになります。)
妊娠中もしくは、妊娠している可能性がある場合は、原則、接種できません。
〇ガーダシル 【標準的な接種方法】
1回目接種 ⇒ 2か月あけて2回目接種 ⇒ 1回目から6か月あけて3回目接種
【ワクチンの効果】
2020年スウェーデンから世界で初めて国家規模での子宮頸がんの減少効果を示す論文が発表されました。
17 歳になる前にワクチン接種を受けた女性では 子宮頸がんの発症を88%減少させ、
17~30 歳でワクチン接種を受けた女性では 子宮頸がんの発症を53%減少させたという結果で、
子宮頸がんワクチンの子宮頸がんに対する高い予防効果が示されました。
スウェーデンの 10~30 歳の女児・女性において、子宮頸がんワクチン接種は国家レベルでの子宮頸がんのリスク減少と関連していました。
【ワクチンの副作用について】
ワクチンを接種した後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさなどの多彩な症状が起きたことが報告されています。
しかし、ワクチン接種歴のない方でもワクチン接種後と同様の「多彩な症状」がでた方が一定数存在したことが明らかとなっています。
現在まで様々な調査研究が行われていますが、このよう多彩な症状が「ワクチン接種と関係がある」 という証明はされていません。
【最後に】
2021年11月厚生労働省は子宮頸がんワクチンの積極的な接種勧奨を再開しました。
国内外で安全性、有効性に関するデータが十分に増えてきたからです。
また、2021年2月 新しく3種類目のワクチンとして、9価ワクチン「シルガード9」が日本でも発売されました。
非常に高い効果が期待できるワクチンですので、今後定期接種として使用できるようになれば9価ワクチンを選ぶ方が増えると思われます。
(現在は自費のワクチンで公費対象ではありません。)
(当院でもご希望があれば取り扱いをしております。)
このように、現在では子宮頸がんワクチンは世界的な標準予防接種となっております。
子宮頸がんワクチンは子宮頸がんに対する高い予防効果が期待できます。
子宮頸がんワクチンの効果と副作用を正しく理解した上で、ぜひ接種をお受けください。