排尿障害ってどんな病気?

「尿が近い」「夜間にトイレに起きる」「尿がもれる」「尿の勢いがない」「時間がかかる」など、排尿の問題で悩んでいる人はたくさんいます。

日本排尿機能学会の調査によると、夜中にトイレに起きる夜間頻尿がある人は4,500万人、昼間に何度もトイレに行く昼間頻尿は3,300万人、おしっこに勢いがない人は1,700万人、おしっこがもれる人は1,000万人いるといわれています。

これらの症状は年をとるにしたがって増え、60歳以上では78%が何らかの排尿の問題を抱えていることが報告されています。

排尿障害はどうして起こるの?

「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある」などの症状は過活動膀胱という病気であらわれます。
過活動膀胱には、脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブルで起こる「神経因性」のものと、それ以外の原因で起こる「非神経因性」のものがあります。

神経因性過活動膀胱(神経のトラブルが原因)
脳卒中や脳梗塞、パーキンソン病などの脳の障害により、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経の回路に障害が起きると、「膀胱に尿がたまったよ」「まだ出してはいけないよ」「もう出していいよ」「膀胱を緩めるよ(締めるよ)」「尿道を締めるよ(緩めるよ)」といった信号のやりとりが正常にはたらかなくなります。
その結果、膀胱に尿が少ししかたまっていなくても尿を出そうとしたり、「締める」「緩める」の連携がうまくはたらかなかったりして、過活動膀胱の症状が出るのです。
非神経因性過活動膀胱(神経トラブルとは関係ない原因)
♢骨盤底筋のトラブル

女性の場合、加齢出産によって、膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることがあります。そのために排尿のメカニズムがうまくはたらかなくなり、過活動膀胱が起こります。

♢それ以外の原因

男性の場合、ほとんどは加齢による前立腺肥大によるものです。しかしそのほかの何らかの原因で膀胱の神経が過敏にはたらいてしまう場合や、原因が特定できない場合もあります。いくつかの原因が複雑にからみあっていると考えられています。

どうやって治療するの?

①薬による治療

過活動膀胱の治療は、まずお薬による治療を行うのが一般的です。α1受容体遮断薬や、コリンエステラーゼ阻害薬など、さまざまな内服のお薬がありますが、これらはみな症状を軽減させる治療薬です。それぞれの症状によって選択される薬剤が異なりますので、主治医によく症状について相談しましょう。

②行動療法

「膀胱訓練」、「骨盤底筋体操」などで、機能の弱まった膀胱や骨盤底筋を鍛えることによって、尿トラブルの症状を軽くすることができます。

③日常生活の注意

毎日の生活の中でも、気をつけていれば尿のトラブルを軽減させることができるポイントがたくさんあります。

♦身体(特に下半身)を冷やさないようにしましょう。

♦便秘に気をつけ、肥満があれば改善しましょう

♦ビールなどのアルコール、お茶やコーヒーなどのカフェイン類、刺激の強い食べ物を控えましょう。

♦水分のとり過ぎに注意しましょう。なお、血管の病気のある方は、主治医とよく相談して水分のとり方を決めてください。

♦適度な運動をしましょう。

♦外出時などは、早めにトイレに行くようにしましょう。

排尿障害でお困りの方は当院でご相談ください!