粗しょう症ってどんな病気?

骨粗しょう症は骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。

特にご高齢の女性は女性ホルモンのバランスが変化するため、骨がスカスカになりやすいので注意が必要です。

骨粗しょう症を放っておくとどうなるの?

骨粗しょう症になっても、痛みはありません。しかし、ちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。

骨折が生じやすい部位は、せぼね(脊椎の圧迫骨折)、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)などです。骨折が生じると、その部分が痛くなり動けなくなります。また、せぼねの骨が折れると背中や腰が痛くなった後に、背中が丸くなって身長が縮んだりすることがあります。背中の曲がったご高齢の方は、骨粗しょう症によってせぼねの骨折を起こしているのです。

これらの骨折が繰り返し起こり、そのまま寝たきりになってしまうのが、骨粗しょう症の怖いところです。

骨粗しょう症の原因は?

からだの中の骨はじつは生きています。骨は毎日毎日、新たに作られること(骨形成)と、溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返しています。

骨粗しょう症はこのバランスが崩れることでおこり、骨がスカスカになっていきます。

骨粗しょう症は圧倒的に女性、特に高齢(閉経後)の女性に多くみられ、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。

骨粗しょう症の診断は?

骨粗しょう症の診断は、骨密度検査という検査で行います。自分の骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定する検査です。

骨密度は若い人と比べて、自分の骨密度が何%あるかで表されます。 当院では骨密度を測定するためにMD法という詳しい検査を採用しています。手の骨とアルミニウム板を同時にレントゲン撮影し、骨とアルミニウムの濃度を比べることで測定する方法です 。

骨粗しょう症の予防と治療は?

骨粗鬆症は予防が大切な病気です。

  • 転ばないように注意する
  • カルシウムを十分にとる
  • ビタミンD,ビタミンK,リン、マグネシウムをとる
  • 外に出て運動する
  • 禁煙し、アルコールは控えめに

骨粗しょう症の治療はどうやってするの?

骨粗しょう症の薬は大きく3つに分類されます。

(1) 骨の吸収(溶かして壊されること)をおさえる薬

骨の吸収がゆるやかになると、骨の作られるスピードが追いついて、新しい骨が壊れたところにきちんと埋め込まれ、密度の高い骨が出来上がります。

例:女性ホルモン製剤(エストロゲン)ビスフォスフォネート製剤SERM(塩酸ラロキシフェン、バゼドキシフェン酢酸塩)、カルシトニン製剤デノスマブ など

(2) 骨の形成を促進する薬

例:活性型ビタミンD3製剤ビタミンK2製剤テリパラチド(副甲状腺ホルモン) など

(3) その他

カルシウム製剤カルシウムは骨をつくる主要な成分であり、欠かせないミネラルです。骨粗しょう症患者さんでは食事の摂取と薬の摂取量をあわせて1000mgが望ましいとされています。
活性型ビタミンD3製剤食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。骨粗しょう症治療では古くから使われている薬です。
ビタミンK2製剤骨密度を著しく増加させませんが、骨形成を促進する作用があり骨折の予防効果が認められています。
女性ホルモン製剤(エストロゲン)女性ホルモンの減少に起因した骨粗しょう症に有効です。閉経期のさまざまな更年期症状を軽くし、併せて骨粗しょう症を治療する目的で用いられます。
ビスフォスフォネート製剤破骨細胞に作用し、過剰な骨吸収を抑えることで、骨密度を増やす作用があります。
経口剤、注射剤などさまざまな薬があり、投与方法も1日に1回から、1週間に1回、4週間(1か月)に1回などさまざまな種類があります。
SERM(サーム:塩酸ラロキシフェン、バゼドキシフェン酢酸塩)骨に対しては、エストロゲンと似た作用で骨密度を増加させます。(骨以外の臓器(乳房や子宮など)には影響を与えません。)
カルシトニン製剤(注射薬)骨吸収を抑制する注射薬ですが、強い鎮痛作用も認められています。骨粗しょう症に伴う背中や腰の痛みに対して用いられます。
テリパラチド(副甲状腺ホルモン)新しい骨をつくる骨芽細胞を活性化させ、骨強度を高めます。骨密度が非常に低いなど骨折リスクが高い患者さんに適した薬です。1日1回患者さんが自分で注射をする皮下注射剤と、週1回医療機関で皮下注射してもらうタイプとがあります。
デノスマブ(抗ランクル抗体薬)破骨細胞の形成や活性化に関わるたんぱく質(LANKリガンド)に作用して、骨吸収を抑制します。
6ヵ月に1回の皮下注射のため、継続しやすいというメリットがあります。

骨粗しょう症の薬物治療は、1年、2年、3年 ~ といった息の長い治療で効果があらわれます。痛みが消えた、などという理由で勝手に薬を中断しないようにしましょう。
薬が飲みづらかったり、服薬が難しい場合は医師や薬剤師に相談してください。

骨粗しょう症でお悩みの方は当院でご相談ください!