こんにちは!

このページでは私の専門である、ウイルス性肝炎、特にB型肝炎ウイルスによっておこるB型肝炎についてお話しましょう!

B型肝炎は人間の血液・体液の中のB型肝炎ウイルス (以下HBVと書きます) に感染することによっておこる肝臓の病気です。HBVに感染している人の血液を輸血したり、傷口にHBVを含んだ血液が触れてしまったり、あるいはHBVに感染している人と性交渉(オーラルセックスを含む)をすることで感染することもあります。HBVは人間の肝臓が大好きなウイルスで、肝臓に住みつく(感染する)となかなか離れることがありません。また、肝臓は「沈黙の臓器」といわれており、肝炎ウイルスが感染してもこれといった自覚症状が現れることがないのが特徴です。そのため、気が付かないうちに病気が進行し、症状が現れた時には慢性肝炎・肝硬変・肝がんといった重い病気になってしまった…ということも少なくないのです。

B型肝炎(文章中に挿入)

さて、この恐ろしいB型肝炎の治療についてご説明しましょう。知らないうちに肝臓にHBVが住みつき、B型肝炎が発症したら…。想像すると心配になりますが、B型肝炎が発症しても、適切な治療を受ければ病気の進行を防ぐことができます。

治療の大きな目標は、肝硬変・肝がんへの進行を防ぐことです。そのためには体のなかのウイルスの量を少なくさせる治療が重要になります。治療の方針は年齢によって異なりますが、

  1. インターフェロン治療(注射のお薬)
  2. 核酸アナログ治療(内服のお薬)

の二つに大きく分けられます。

まず①のインターフェロン治療は注射のお薬で、自分自身の免疫パワーを強くすることでウイルスの量を抑える治療です。自分の免疫パワーを利用するので、ウイルスを根治できる(体内から排除できる)可能性がありますが、注射薬のため少なくとも週一回は病院に通う必要があり、また発熱・脱毛などの副作用があるため、治療のタイミングについて私たちのような肝臓専門医とよく相談する必要があります。

次に②の核酸アナログ治療は近年広く使われるようになった内服薬による治療です。ウイルスが肝臓で増えていくのを阻止することで、高いウイルス抑制効果が期待できます。注射薬でなく内服のお薬なので、頻回に通院する必要がなく患者さまの身体への負担は少なく済みますが、現時点では体内から完全にウイルスを排除するのは難しく、内服を開始すると長期にわたって(ほぼ一生)お薬を飲み続ける必要があります。現在数種類の核酸アナログ製剤が発売されており、たくさんの患者さまが服用なさっています。平成26年5月に従来のお薬より効果が高いテノホビル(テノゼット®)が発売されるなど、次世代のお薬が次々に開発中ですので、将来的には内服薬でウイルスを完全に排除できる日が来るかもしれません。

現在日本人の100人に1人にHBVが存在するといわれています。また体内にHBVが存在しなくても、過去にHBVに感染した既往がある方は肝がんが発症する危険性があることが知られています。思い当たることがある方、肝臓のご病気が心配な方…、 皆様にとって最も大事なことは、症状がなくても一度は私たちのような肝臓専門医療機関を受診し、相談することです。そこでもしも感染が見つかっても、むやみに心配することなく必ず定期的に専門医を受診するようにしましょう。

肝炎ウイルスを恐れることはありません!私たちと一緒にウイルスをやっつけましょう!